マスボクシングは相手にパンチを当てないことを前提とした対人練習です。
しかしこれに対して、「やる意味が分からない」という人が一定数います。
その理由として、
・相手にパンチを当てないとリアルさがない
・遅くていい加減なパンチばかり打つことに慣れてしまう
・マスボクシングに慣れるとかえって弱くなる
といったことを挙げてきます。
そこで本記事では、マスボクシングをやる意味と、やるにあたって意識すべきことを解説していきます。
マスボクシングができないとスパーリングもできない

ボクシングにおいて、マスボクシングは重要な対人練習です。
ダメージを負わず怪我のリスクもなく、1人の練習では気付けないことに、たくさん気付くことができるからです。
これに対してスパーリングは、実戦形式の練習でお互いに本気で打ち合います。
しかし今まで対人練習をしていなかった人が、いきなりスパーリングをやるのは非常に危険です。
距離感や駆け引きなど、相手がいる状態での緊張感は独特です。
それに不慣れなままやると、一方的にやられて終わってしまう可能性が高いでしょう。
スパーリングはマスボクシングの延長線上にあるものと認識すべきです。
マスボクシングでまともに動けない人が、スパーリングで動けることはありません。
また、マスボクシングであっても、相手が自分より強いか弱いかは分かります。
分からなければ、それはマスボクシングだと本気で打ち合わないからとかではなく、単純に自分の実力が不足しているということです。
マスボクシングだからできること

マスボクシングは、相手に当てることなく安全に行える練習だからこそ、できることがあります。
主に以下の2点がそれにあたります。
練習したコンビネーションやテクニックを試す
マスボクシングは当てないからこそ、遠慮なく様々なコンビネーションやテクニックを試せます。
どれだけシャドーボクシングやサンドバッグで練習していても、それが実際にどの程度通用するかは、相手に使ってみないと分かりません。
かといってスパーリングでは、下手に試して失敗すると反撃を喰らい、怪我をする可能性があります。
だからマスボクシングで試してみて、相手がどう反応するかを見て、現実的にどの程度使えるものかを確認するのです。
対人戦の感覚を養う
スパーリングはお互いがある程度のレベルでないと、怪我をする可能性が高いです。
そのため敷居が高く、できる人が限られてしまうのが最大の難点と言えます。
マスボクシングは当てないので、初心者から上級者まで、誰でも参加できる練習です。
対人戦でしか養えない感覚を、マスボクシングで養うことで、1人だけでやるより格段にレベルアップが図れます。
誰でも参加できるので、様々なタイプの人とやり合えて、ボクシングの奥深さを知るキッカケにもなります。
マスボクシングで意識すること

マスボクシングは当てないからこそ、何も考えずやると危機感を抱かず、実りある練習にはなりません。
以下の3点を意識して取り組むことが、自分のレベルアップのためには欠かせないものとなります。
距離感
ボクシングではいかに距離感を制するかが、勝敗を分けます。
自分のパンチが届く距離、相手のパンチが届く距離を把握できないと、一方的にやられてしまいます。
どの距離なら自分が最もやりやすいのか、相手がやりにくいのはどの距離感かを図ってみましょう。
これを意識せず闇雲に突っ込んできたりする人は、距離感が掴めずスパーリングや試合でも間違いなく負けます。
ディフェンス
ブロッキングやパリングなど、ディフェンスがまともにできない人が勝利することはありません。
マスボクシングは当てはしないものの、相手のパンチにどの程度反応できているかどうかは分かります。
オフェンスばかり意識して、ディフェンスをおろそかにしている人は少なくありませんが、それは初心者の域を抜け出せていない状態です。
打ち終わりにバックステップで距離を取るなど、相手の反撃に備えることが重要です。
マスボクシングをしている人の中で、ディフェンスをしっかりできているのはごく一部です。
ここを意識して取り組み続けることで、その差は大きくついていくでしょう。
フットワーク
ボクシングはフットワークが全ての基本です。
その場に止まって闘うことは、どんな選手も絶対にありません。
素早く動く、緩急をつけて動くなど、様々なフットワークを試してみましょう。
ダッキングやウェービングは、ディフェンスにもなる有効な方法ですが、一朝一夕では身に付きません。
ひたすら反復練習を重ねる必要があるので、そのためにもマスボクシングで経験を積むべきです。
先述した適切な距離感を保ち続けるためにも、フットワークは欠かせません。
パンチのフォーム
相手がいる状態でパンチを打つのは非常に難しいことです。
コンパクトかつスピーディに打つ、バランスを崩さず威力の乗ったパンチが打つのは、動く相手がいると理想通りにはいきません。
全身を連動できず手打ちになってしまうなど、マスボクシングではそれらが全て顕著に出ます。
どんな状況でも理想通りのパンチを打てるか確認するのに、マスボクシングは有効です。
勝敗ではなくコントロールできているか

マスボクシングにKOやTKOは存在しません。
また、判定決着の概念もないので、勝敗がつかない練習です。
それにも関わらず、自分の方が強いと誇示したくて、必死になる人が多くいます。
そういう人ほど当ててきたり、ディフェンスを無視してひたすらパンチを打ってきます。
しかし、それにまともに付き合っても、ボクシングは上達しません。
そんな相手であっても、全て受け流しつつカウンターを合わせるなど、いかに相手をコントロールできるかが重要です。
マスボクシングで相手をコントロールすることが可能になれば、スパーリングや試合でも間違いなく活かせます。
マスボクシングだからこそできることを、精一杯やっていきましょう。
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