格闘技をやっていると、このような質問をいただくことがあります。
「喧嘩で使える格闘技は何か」
「喧嘩最強(一番強い)の格闘技は何か」
「喧嘩に強くなるための格闘技は何か」
喧嘩と格闘技に関する議論は至るところでされており、喧嘩に使えるとして人気の格闘技を、ランキング形式で紹介している記事も多数見かけます。
しかし上記で挙げた質問に回答するならば、格闘技は喧嘩に使うとか強くなるという目的で習うには、あまり向いていません。
仮に喧嘩に使うとか強くなるためであれば、格闘技より護身術がおすすめです。
本記事ではその理由を解説していきます。
『実戦的な格闘技』は存在しない

喧嘩目的で格闘技を習おうと考えている人の多くが、『実戦的』であることを求めます。
喧嘩でより使えるものを必要としているからこそ、出てくる単語なのでしょう。
『喧嘩VS格闘技』という図式は、多くの人が好きなのも分かります。
しかしそもそも実戦的な格闘技など存在しません。
何故ならどんな格闘技にも、必ずルールが存在するからです。
ボクシング、キックボクシング、ムエタイ、レスリング、ブラジリアン柔術、MMA(総合格闘技)、空手、柔道・・・
格闘技だけでなく武道や武術も含めて、ルールが一切存在しないものはありません。
漫画やアニメの影響か、喧嘩に対して『タイマン』をイメージしている人が少なくありませんが、現実の喧嘩においてそれを律儀に守る方がおかしい話です。
そしてルールがない以上、反則とか卑怯という概念も存在しません。
以上のことから、格闘技に実戦性を求める方が間違っています。
格闘技が強くなるほど喧嘩の際に弱点となる

「格闘技を練習して強くなれば、喧嘩にも活かせる!」という声もあると思います。
確かに格闘技で習う打撃や寝技などは、喧嘩でも使えて有利かもしれません。
パンチ・キック・タックルなどの技術は、努力して磨けば磨くほど向上します。
プロ格闘家や武道の有段者レベルになれば、基礎的な力はそこら辺の不良より強いのは間違いないでしょう。
しかし同時に、格闘技をやっているからこそ、弱点となり不利になることもあります。
既に解説した通り、格闘技には必ずルールが存在します。
一方で喧嘩にはルールが存在しないので、本当の意味で「何でもあり」の状態です。
格闘技経験者の場合、喧嘩の際にも無意識に自分のやっている格闘技のルールを守ろうとしてしまい、想定外の攻撃に対処しきれない可能性が高いです。
元々喧嘩慣れしているなら話は変わりますが、そうでなければ格闘技をやっていることが、逆に弱点となり危機に陥ることは十分あり得るでしょう。
喧嘩に強くなるために護身術がおすすめの理由

ここまで喧嘩に使える格闘技がない理由を解説してきました。
では護身術が喧嘩において有利な理由は何なのか。
喧嘩で強くなるために護身術がおすすめな理由は、以下の3つにあります。
あらゆる想定下での練習がある
護身術は格闘技と違ってルールが存在しません。
身を護るための術なのに、ルールがあったらおかしいですよね。
つまりそれは喧嘩と同じ条件になっているということです。
相手がナイフや鉄パイプを持っている、複数人に襲われる、場所が路上や裏道…といったあらゆる想定をしての練習をします。
格闘技や武道では絶対にあり得ないシチュエーションで、格闘技ジムや道場では対処の仕方など教わりません。
しかし護身術であれば、どのようにすべきか対処方法を教わることができます。
まさに実戦的と言えるでしょう。
人体の急所への攻撃もためらわない
格闘技では股間蹴りや目つぶしなど、人体の急所への攻撃は禁止されています。
後遺症を残してしまうなどの危険から選手を保護するためであり、試合であれば当然守るべきルールとなっています。
しかし喧嘩の場合、時にはこちらの身を護るために、相手の急所を狙わなければならないこともあるかもしれません。
護身術では急所へ攻撃する際のコツや注意点など、普段習う機会がないことも学べます。
これをおさえておけば、喧嘩で使う使わないは別にして、役立つのは間違いありません。
体重差や体格差が考慮されていない
格闘技の試合には階級があり、体重差のある相手と戦うことはありません。
だから体格が同じくらいの相手と戦うことには慣れても、そうでない相手の場合に対処しきれなくなります。
しかし喧嘩においては、自分と同じくらいの体格の相手ということの方が少ないでしょう。
護身術では体重差があろうが何だろうが、必ず対処できるようになっていなければなりません。
そしてそのための練習をするので、喧嘩でも活かせる場面は多々あります。
どんな相手であっても落ち着いて構えていられるでしょう。
喧嘩することによるリスクを理解しておく

本記事の冒頭で喧嘩が社会的に認められないとお話しましたが、これは単なる綺麗事ではありません。
喧嘩には数々のリスクが伴います。
・暴行罪や傷害罪で逮捕される
・後遺症の残る大ケガをする(相手にさせる)
・多額の慰謝料を請求される
いずれも社会的立場を危うくしたり、経済的損失を抱えることになります。
そして一生付きまとうものになるでしょう。
少なくとも今の日本社会で喧嘩をしても、良いことが1つもないのは事実です。
自分のくだらない見栄やプライドよりも、守るべきものがあることを忘れてはいけません。
喧嘩に強くなるのは、特に男性からすると憧れかもしれませんが、たとえどれだけ強くなっても一生実践することはないようにしましょう。
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