「筋トレで身に付けた筋肉は使えない」
こんな言葉を昔からよく聞きます。
筋骨隆々な人に色々なチャレンジをさせて、結局できなかったという場面をテレビ番組などで見ることから、このような説が出てくるのではないでしょうか。
しかし結論から言うと、これはまったくの嘘です。
少なくとも筋トレで身に付けた筋肉が、何の約にも立たないということはありません。
本記事ではこの点について、元プロボクサーである僕自身の体験談も含めて、詳しく解説します。
筋肉の種類に『使える・使えない』は存在しない

まず大前提として、筋肉はどのように鍛えても、同じ筋肉です。
スポーツで鍛えようが、ウエイトトレーニングで鍛えようが、筋肉が『使える・使えない』という2種類に分かれることはありません。
発揮できるパワーは変わりませんし、運動効率も変わることはないです。
以上のことから、筋トレで身に付けた筋肉が使えないというのは、理論的におかしい話です。
重いものを持ち上げたり、長い時間持ち続けたりと、役立つ場面は必ずあります。
『使える筋肉』は人によって異なる

ではなぜ、使えない筋肉という言葉が出てくるのでしょうか。
これは多くの人が『筋トレで筋骨隆々=スポーツ万能』と、無意識に思っているからです。
しかしスポーツにおいては、筋肉の大きさや筋肉量だけで、全てが決まるわけではありません。
筋肉は必要ですが、それと合わせて競技力が欠かせないものとなります。
競技力とは、例えば野球であればより早く遠くへボールを投げられるか、バスケであればいかに正確にシュートを決められるか等です。
これらは筋肉がどれだけあっても意味がありません。
何度も練習を重ねて向上していく力です。
なので『使える筋肉』がそのようなスポーツでの活躍を求めているなら、そのスポーツの練習をしなければいけないということです。
一方でボディビルダーなどは筋肉を綺麗に魅せることが必要です。
以上のことから、『使える筋肉』は人によって異なると言えるでしょう。
ここからは、各競技ごとで求められる筋肉について、より詳細に触れていきます。
ボディビルダー
おそらくボディビルダーは、『使えない筋肉』だと揶揄されることが最も多いアスリートです。
しかし先述の通り、それは誤りです。
なぜならボディビルにおいて問われるのは、ボールを早く投げるとかシュートを正確に決めるとかではなく、筋肉を美しく見せることだからです。
これには一般人以上の筋肉が必要で、それを身に付けるためにハードなトレーニングを重ねて、筋肥大などを狙います。
そうして筋骨隆々な姿になった上で、ポージングなどより綺麗に見せるための練習を積んで、大会での優勝を目指すのです。
彼等に必要なのは、ほかのスポーツではパフォーマンスの妨げにもなり得るほどの、凄まじい筋肉ということです。
格闘家
格闘家に求められるのは、試合で相手に勝利することです。
だからボクサーであればパンチ力、柔道であれば投げ飛ばす力が必要となります。
階級制が採用されている競技が多いため、筋骨隆々になって体重を必要以上に上げることはできません。
それぞれに重要となる部位の筋肉を鍛えた上で、格闘技の練習をしていくことになります。
ダンサー
ダンサーにとって必要となるのは、華麗かつキレのあるダンスを踊れることです。
筋骨隆々ではないのはもちろんですが、下手に筋肉をつけると、身体が重くなってかえって動けなくなってしまいます。
体幹を鍛えるなど、いかにダンスのパフォーマンスアップに繋げられるか考えながら、筋トレをすることになります。
筋トレによってパフォーマンスがアップした体験談

僕はボクサーとしてやっている中で、パンチを出し続けることがなかなかできませんでした。
スタミナ不足もありますが、それ以上に腕の疲労によって、パンチが出せなくなってしまっていたのです。
そこで練習として、1ラウンド中ずっとジャブを出し続けるようにしていましたが、それも難しい状態でした。
しかし筋トレを継続していたところ、ある日それができるようになっていて、腕の疲労もそこまでつらくなくなっていたのです。
同時に両腕のガードもあげ続けられるようになるなど、単純にボクシングが上手くなったというだけではありません。
筋トレによって筋力が向上したことで、できるようになったのだと実感しました。
筋トレする目的は何かを考えよう

単純に筋肉をつけたいだけであれば、どんな筋トレでも問題はありません。
ただし何らかの目的があるなら、そのために効果的な筋トレが何かを考えた上で行う必要があります。
スポーツを上手くなりたいとか、特定の行動(早く走る、高く跳ぶ等)をさらにできるようになりたいなら、そのためのトレーニングが欠かせません。
自分にとっての『使える筋肉』とは何か、その筋肉をどう活かせるかをしっかり考えましょう。
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