格闘技においてよく聞くワードの1つに『体重差』があります。
普段格闘技を見ない人でも、フライ級やライト級、〇〇階級制覇といったワードを聞いたことがある人は多いでしょう。
それらは全て、突き詰めれば体重のことを表しており、格闘技では無視できないものになります。
本記事では、格闘技で体重差があるとどんな影響があるのか、その重要性について解説していきます。
体重が重いほど有利

極論を言えば、格闘技では技術的に互角だった場合、体重が重い方が勝ちます。
もちろん全く互角なんてことはありませんし、体重が重いほうが100%勝つかというと、そうでもありません。
しかし基本的に、体重は重い方が有利であることは間違いないです。
打撃も組技も、体重が重ければ重いほど、その強さは上がります。
だから格闘技の試合では階級制を導入しており、両選手の体重をほぼ同一にすることを定めています。
ボクシング、キックボクシング、MMA、空手、柔道など、ほとんどの格闘技が階級制となっています。
競技としての公平性と安全性を保つために、必要なものとされています。
計量失敗(体重超過)は重大違反

格闘技に関するニュースで、『計量に失敗』や『○○キロオーバー』という記事が出ることがあります。
これは定められている規定体重(60kg以下まで落とす等)を、超えてしまった場合に用いられるワードです。
試合は計量日までに規定体重まで落としておかなけれなりません。
これをわずかでも超過してしまうと、その時点で試合は成り立たなくなります。
試合以前のルールであり、守ることが当たり前なのです。
特にプロの試合は、計量をクリア(規定体重まで落としておく)することを『契約』としているため、失敗すると厳しいペナルティを課されます。
主催する団体にもよりますが、基本的に以下のような処分があります。
・制裁金
・試合中止
・ファイトマネー剥奪
・王座剥奪(失敗したのが王者だった場合)
・ノンタイトルマッチ(挑戦者が勝利しても王者に認定されない)
・プロライセンス停止(一定期間その団体の試合に出場できない)
このほかにも、選手だけでなく所属ジムのトレーナーや会長にくだされる処分など、ペナルティは多岐に渡ります。
プロの試合は出資者であるスポンサー、試合のチケットを購入した観客など、多くの人とお金が動くビジネスです。
そこで契約違反(計量失敗)があれば、どんな影響があるかはイメージがつくのではないでしょうか。
だからこそ計量クリアは大前提であり、失敗は絶対にあってはならないことです。
選手が減量する理由

格闘技をやっていない人からすると、選手が行う減量を疑問に思うでしょう。
練習だけでも大変な中、なぜ苦しい思いをしてまで、わざわざ体重を落とす必要があるのか。
計量失敗という問題も起きるのに、減量をすることに何の意味があって、どんなメリットがあるのか。
この答えは集約すると「試合に勝つため」なのですが、さらに具体的に言うと以下の3つが理由として挙げられます。
体格面で有利になるため
ほぼ同じ体重で技術も互角の場合、身長が高くリーチがある方が有利になることがあります。
また、体重は同じでも元々の骨格が大きければ、パワーは強く相手と差をつけられる分、有利になることもあります。
だから選手は減量で体重を落とし、下の階級にいくことで試合に勝てる可能性を高めるのです。
ある階級では強くてもその上の階級にいくと通用しなくなるというのは、上の階級には自分よりリーチが長く骨格も大きい選手が多い傾向にあることが要因としてあげられるでしょう。
パフォーマンスを最大限に発揮できるようにするため
どんな選手にも、「このくらいの体重が一番調子が良い」という適正体重があります。
体重が重すぎるとパワーは出せるものの動きが遅くなってしまったり、軽すぎるとすぐスタミナ切れするなど、体重によってパフォーマンスが大きく変わります。
そこを調整してちょうどよい体重にすることで、パワーが出せてキレも良く、長時間動ける身体になります。
なので選手は、パフォーマンスを最大限に発揮できる階級で闘おうとします。
感覚を研ぎ澄ますため
減量をしていくと普段より感覚が鋭敏になってきます。
試合においては一瞬の判断と動きが勝敗を左右するため、感覚が冴えているとそのぶん勝てる可能性が上がります。
また、メンタルも落ち着いて冷静になりやすいので、どんな攻撃にも慌てず対処しやすくなります。
体重差の重要性を理解する

格闘技における体重差は、思っている以上に大きな影響があります。
時折組まれる数十㎏差の試合は、選手へのダメージのことを考えると、かなり危険なのです。
しかし選手の合意のもとで行われているものなので、外野がとやかく言うことではありません。
話題を集めたい等の様々な思惑はあるにせよ、選手のプロ意識と覚悟が伺えます。
糖質制限や水抜きなど、健康的には良くないであろうことも、試合のために取り組むのです。
体重差の重要性を理解することが、格闘技への造詣をより深めてくれますし、試合をさらに面白く観戦できることに繋がります。
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