ボクシングをやっていると、「プロライセンスを取りたい!」と思い始める人は少なくありません。
プロボクサーと堂々と名乗れると格好いいですし、自分の強さを形として証明できるものがあるのは嬉しいですよね。
近年は格闘技の人気が再上昇してきていることもあって、以前よりもそういう人が増えたのではないでしょうか。
しかしここで気になるのが、「プロライセンスを取ったら試合に出なきゃいけないの?」ということでしょう。
試合となれば怪我をするリスクもあって怖いから出たくないと思うのは、臆病でも何でもありません。
結論から言うと、ボクシングのプロライセンスは取るだけで試合はしなくてもOKです。
本記事ではプロライセンスを取得するまでの流れや必要なことなども含めて、詳しく解説していきます。
私自身、かつてプロライセンスを取ることだけを目標にして、無事取得に成功した人間なので参考になれば幸いです。
プロライセンスを取るだけで試合はしなくてもOK!

改めて言いますが、ボクシングのプロライセンスを取得しても、試合に出る必要はありません。
2024年12月時点で試合出場を義務付けるルールはなく、取得だけを目標にプロ試験を受ける人は一定数存在します。
著名人でいうと、以下の方々はプロライセンスを取得しただけで、試合をしていません。
・横浜流星(俳優)
・佐野岳(俳優)
・重岡大毅(WEST.)
ただし、ボクシングジムによってはプロライセンスを取得するなら、試合に出ることを課しているところもあります。
これはルールではなくジムの方針なので、事前に必ず確認しておきましょう。
プロライセンスを取るまでに必要な時間

プロライセンスを取るまでに必要な時間がどのくらいかは、個々人で大きく異なるため一概には言えません。
ただし格闘技未経験者の場合、最低でも1年はかかると思っておいた方がいいでしょう。
また、練習は最低でも週5回、しっかり継続することが求められます。
大前提としてプロ試験を受けるには、所属するジムの会長(責任者)の許可が必要です。
つまり会長の許可が下りなければ、いくら練習してもプロ試験を受けられず、プロライセンスは取得できません。
では会長の許可がどうしたら下りるのかというと、「プロ試験を受けさせても問題ない実力がある」と判断されることです。
基礎的な体力はもちろん、知識や技術といった総合的なレベルがプロ相当になっているかですね。
明確な基準が定められているわけではないため、完全に会長の裁量になります。
日頃から練習をして、会長からOKサインが出るのを待つのが唯一の道です。
プロライセンス取得までの流れ

プロライセンスを取得するまでにやることは非常に多いです。
面倒がらず心折れることなく、地道にやっていくことが求められます。
ここでは5つのステップに分けて解説します。
プロボクシングジムを探して入会する
ボクシングジムは日本全国に数多く存在しますが、どのジムでもいいわけではありません。
プロ試験を受けるためには、日本プロボクシング協会(JPBA)に加盟しているボクシングジムでないといけないからです。
加盟ジムはこちらで確認できるので、この中から選択することになります。
ジム選びのポイントはいくつかありますが、主に以下の3点です。
・会長とトレーナーの人柄
・プロ選手の在籍人数
・自宅もしくは職務の近く
ボクシングを指導してくれる会長とトレーナーの人柄は非常に重要です。
ボクシングは競技の特性上、厳しい指導を受けることもあります。
しかしそれが指導という範囲を超えていては問題です。
これを見抜くためには、そのボクシングジムを見学するのが一番なので、気になるジムは入会前に必ず見学・体験しましょう。
また、プロ選手がどれくらい在籍しているかも重要です。
プロ試験を受けるにはスパーリングという試合に近い実戦形式の練習が欠かせませんが、相手がいなければできません。
スパーリングは危険が伴うので一般会員の方々がやることはほとんどなく、同じプロ志望や現役のプロ選手とやることになります。
そのためプロ選手が少ないとまともに練習できず、プロライセンス取得まで余計な時間がかかる可能性があります。
そしてもう1つ重要なのが自宅の近くにあることです。
最低でも週5回はジムに通うことになるので、移動時間が長いとそれだけで心身の負担が大きくなります。
可能な限り通いやすいジムを選びましょう。
ひたすら練習する
ボクシングジムに入会したら、ここからはひたすら練習あるのみです。
1~2時間程度のジムでの練習はもちろんですが、それ以外に走り込みや筋トレも必要です。
特にボクシングはスタミナが問われる競技で、これを培う走り込みは重要な練習です。
毎日とは言わずとも、週4~5回はした方がよいでしょう。
ちなみに私がしていたのは、400mダッシュ×5本です。
これでもかなり少ないですが、重要なのは本数よりもいかに継続できるかです。
また、今はYouTubeやサブスクでボクシングの試合動画をたくさん観ることができます。
有名選手の動きやパンチの繰り出し方は非常に勉強になるので、なるべく観るようにしましょう。
特に『U-NEXT』は世界戦など豊富に配信しているのでおすすめです。
プロテスト受験の申し込みをする
ジムの会長からプロ試験を受ける許可が下りたら、受験の申し込みをします。
申し込みには以下の健康診断を提出しなければなりません。
コミッションドクターによる健康診断(B型肝炎検査、頭部CT検査※30歳以上の者はCTに代わり頭部MRI検査、女子はテスト日から30日前以内の妊娠反応検査含む)
プロボクサー新人テスト受験要項
なお、受験料と健康診断料など、諸々含めると最低でも40,000円近くかかります。
申し込み後、早ければ1カ月後にはプロテスト受験です。
※受験人数や時期などによって異なります。
試験日などが記載された受験用紙がジムに届くので、会長から受け取ります。
プロテストを受験する
プロテストは後楽園ホールで行われます。
受験開始30分前までには受付を済ませる必要があるので、時間には余裕を持って向かいます。
試験は筆記テストと実技テスト(2Rのスパーリング)の2つがあり、両方に合格しなければなりません。
スパーリングの対戦相手は当日発表されるので、どんな選手と当たるかは完全に運次第です。
ここまでくると、あとはもうこれまでの練習の成果を全て出し切るのみです。
ちなみにスパーリングは勝敗で合否が決まるわけではありません。
合格判定基準は公開されているので、事前に必ず確認しておきましょう。
相手を倒すことを意識するのではなく、雑な動きやトリッキーなことをせず、丁寧に基本通りのボクシングをすることが求められます。
※所属ジムの会長やトレーナー、プロ選手から詳しく教えてもらえます。
合格→手続き→プロライセンス取得!
プロ試験の合否は、早ければその日のうちに発表されます。
日本ボクシングコミッション(JBC)のホームページに掲載されるので、誰でも確認が可能です。
合格したら、合格通知受領後2週間以内に、ライセンスの申請手続きをする必要があります。
※所属ジムの会長から詳しく教えてもらえます。
申請したらプロライセンスが届くので、これで目標達成です。
すべてが報われる瞬間ですね。
プロライセンス取得に必要なこと

ボクシングのプロライセンスは、真面目に練習を続けていれば誰でも取得できるチャンスがあります。
しかし決して甘いものではなく、多くの努力が必要です。
ここではプロライセンス取得に必要なことを3つ解説します。
プライベートをボクシングに費やす覚悟
プロライセンス取得を目標にボクシングジムに入会してくる人は多いですが、途中で挫折してしまう人も多いです。
私が所属していたボクシングジムも、プロライセンス取得を目標に入会してきた人の約半数は辞めてしまいました。
最低週5回の練習、さらにプロライセンス取得が目標となれば厳しいメニューなので、心身ともに負担は大きいです。
特に社会人は普段通りの仕事をしながらとなるので、これが想像以上にきついことは私も身をもって感じました。
なので本気でプロライセンス取得を目指すなら、その期間のプライベートのほとんどをボクシングに費やす覚悟が必要でしょう。
会長とトレーナーの指導には素直に従う
プロテスト受験はジムの会長の許可が必要であり、許可をもらうには実力が認められなければなりません。
そしてそのためには、会長やトレーナーの指導を素直に聞き入れて、どんどん活かしていくことです。
指導に反発したり異議を唱えると、心象が悪くなり嫌われます。
そうなればたとえ実力があっても、プロになる資格がないとか言われて、プロテスト受験をさせてもらえない可能性があります。
結局は人間が営むものなので、どれだけ強くなっても嫌われてしまえばそれまでです。
普段から態度よく、挨拶やお礼など基本的な礼儀作法は、きちんとわきまえておくことが必要です。
時には理不尽なことを言われるかもしれませんが、プロライセンス取得までは辛抱しましょう。
取得後のご褒美を決めておく
プロライセンス取得までの道のりは長く、辞めたくなることが何度もあります。
これを乗り越えるには、いかにモチベーションを保てるかがカギです。
そこで有効なのが、プロライセンスを取得した際の自分へのご褒美を決めておくことです。
ご褒美があると、つらくしんどい時も「○○が待っているんだ!」と、奮起できるようになります。
モチベーションの管理は非常に難しいですが、このように具体的なものを決めておくとやりやすくなります。
プロライセンスを取って形に残す意味

プロライセンスを取得すると、周囲の反応は明らかに変わります。
「趣味はボクシングです」と、「趣味はボクシングで、プロライセンスを持っています」だと、与える印象が大きく異なりますよね。
私はこれを肌で感じましたし、世界が少しだけ変わったような気さえします。
大変なことが多く諦めかけたこともありますが、今は取って良かったと心から思っています。
もしプロライセンス取得を少しでも考えているなら、勇気を持って挑戦してほしいです。
ありきたりな言葉ですが、『やらない後悔より、やった後悔』の方が絶対にいいです。
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