ボクシングではスタミナがとにかく大事と言われます。
プロの試合は最も短くて4ラウンドの12分間、世界タイトルマッチになると12ラウンドの36分間も闘うことになります。
あらゆる格闘技の中で、試合時間の長さは上位に入るでしょう。
この時間を闘い抜けるだけのスタミナがなければ、勝利を収めることはできません。
しかし、スタミナがないと具体的にどういった状態になってしまうのか、そこまで重要なのかをいまいち理解できていない人もいるでしょう。
本記事ではスタミナの重要性、強化するトレーニング方法を、元プロボクサーである筆者の経験をもとに解説していきます。
スタミナ不足は致命的な弱点

ボクシングにおけるスタミナ切れは、実質的に何もできなくなると考えて差し支えありません。
パンチを打つのもガードをするのも、フットワークを使うのも、全てスタミナがあってこそできるものです。
スタミナを消耗すると、全体的なパフォーマンス(競技力)は落ちてしまいます。
どんなに強力な攻撃も高度なテクニックも、スタミナ不足だと100%発揮することはできません。
その状態で相手に勝つ方が難しいですよね。
だから一流の選手ほど、走り込み合宿などスタミナ強化に時間をかけます。
元WBC世界フライ級王者の内藤大助さんも、現役時代のインタビューで「スタミナさえつけば誰にも巻ける気はしない」と話していました。
もちろん卓越したテクニックなどがあることが前提ですが、それほどまでにスタミナは重要ということですね。
スタミナ強化のために必要な練習

スタミナは『体力』や『心肺機能』、『持久力』などとも言われます。
より具体的に言えば、疲れにくさを指します。
これを強化するための練習内容は、どのボクサーもそこまで大きく変わりません。
以下をしっかり行っていけば、自然とついてきます。
ロードワーク
プロボクサーであれば、誰もがほぼ毎日取り組んでいます。
いわゆるランニングですね。
スピードや距離は人それぞれですが、筆者は3~10㎞程度をその日のコンディションに応じて走っていました。
また、100〜400mダッシュも行い、スタミナ強化を図っていました。
基本的には外で走っていましたが、雨風が強い日やあまりにも暑かったり寒い日は、室内でルームランナーを使って走ったこともあります。
外で走るのがベストですが、無理してこだわらなくてもいいのではないかと思います。
縄跳び
ボクシングジムであれば確実に置いてある縄跳びです。
2~5ラウンドを、縄に引っかからないように跳び続けます。
途中で跳ぶリズムを変えたり、交差飛びや二重飛びなどもしていくことで、緩急が生まれてより負荷をかけられます。
常に体幹を意識して、軸がブレないように跳び続けると体幹も強くなります。
高速サンドバッグ打ち
サンドバッグに高速で連打します。
20秒打って10秒休むといった打ち方をすると、スパーリングなどでも攻撃と防御の切り替え時に役立ちます。
とても疲れますが、パンチ力もつくので効果的でおすすめです。
全力シャドーボクシング
シャドーボクシングはフォームチェックやアップで行うものと思われがちですが、全力で動き続けるととても疲れます。
コンビネーションパンチ、連打、フットワークを止めずにやっていくと、スタミナがついてきます。
常にガードは下げず足を止めないようにして、バランスを崩さないよう意識して動くと、とても役立つ練習になるでしょう。
継続が全て

スタミナは1〜2日でつくものではなく、地道な継続が求められます。
きついのに地味ですし、数値で成果がすぐに出るものではないので、モチベーションが上がらないこともあります。
しかしスタミナがつくと、いざという時の場面で踏ん張りがきくようになります。
プロテストでは実技試験で2ラウンドのスパーリングがありますが、スタミナがないとまともに動けず、合格は難しいです。
強くなりたいなら、テクニックなど基礎的な部分はもちろんですが、スタミナ強化も課題にしなければなりません。
誰もが進んでやりたがらない練習こそ、しっかり取り組むことが周囲と差をつけます。
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